愛猫のために知っておきたい、覚えておきたい民法と動物愛護管理法

 

こんにちは、りんさく(@sakurarin72)です。

 

毎日、必ずと言っていいほどSNSにあがっているのが、猫の虐待や遺棄の事です。

 

新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が増えたり、自粛生活のストレスから癒しを求めて、ペットを飼う人が増加しました。

ペットフード協会の調査によると、昨年ペットとして新たに飼われた犬猫は、前年より6万匹以上増えたそうです。

 

しかし「お世話をするのが思っていたより大変」「いたずらする」「言うことをきかない」などの理由で、暴力をふるったり、飼育放棄で捨ててしまったり、愛護団体や保健所に持ち込む人が増加しています。

ペットをアクセサリーぐらいにしか思っていない自分勝手な人が、多すぎるということなのでしょう。

動物愛護管理法の改正で、少しは犬猫に優しい国になるのかと思いきや、一向にその兆しがないのが現状です。

 

民法で猫は「物」として考えられています。

これは猫に限らず、動物は「物」として扱われているのです。

「命あるものが物?」そもそも、そこからおかしい気がするのですが・・・

 

動物も人間と同じように、「嬉し」「悲しい」「痛い」という感情は持っています。

愛猫がケガをして「あっ!割れちゃったよ」「壊れちゃった」と思う人はいないはずです。

 

しかし法律上では動物は「物」

「はぁ?」って感じですよね。

 

もし大切な愛猫が、誰かに傷つけられても、刑法では「器物損壊罪」となるのです。

しかし、動物愛護管理法の第2条では「命あるもの」と規定されていて、殺傷や虐待をした時には懲役刑や罰金刑が処されます。

動物は「物」でも、法律上では「特別な物」と考えているのです。

 

残念な事に、日本は動物に対する法律がまだまだ弱い気がします。

ペット先進国ドイツでは、民法で「動物は物ではない」と明記されているそうです。

ドイツはペットショップもなく、殺処分0を実現していると言われています。

 

いつか日本も、そういう時代が来るといいですね。

 

今回は、猫に関する法律のお話です。

 

スポンサーリンク

動物愛護管理法

1973年(昭和48年)に「動物の保護及び管理に関する法律」が、議員立法として制定されました。

これ以前は、動物の愛護や管理を目的とした法律がありませんでした。

条文もわずか13条で、罰則も軽く法的効果がなかったそうです。

 

それを見かねた動物愛護団体などが、法律の不備を指摘するようになり、1999年(平成11年)に改正されて、翌年2000年(平成12年)12月1日に「動物の保護」から「動物の愛護」に変更をして

「動物の愛護及び管理に関する法律」

として施行されました。

それが現在の動物愛護管理法(動物愛護法)です。

 

ハッキリ言って、日本のなまぬるい動物愛護管理法では、動物を守ってあげる事は出来ないでしょう。

しかし、何となくでも法律を知っているのと知らないのでは、守ってあげられる気持ちが違うと思います。

 

愛猫を守ってあげられるのは、飼い主さん(人間)です。

猫によくあるトラブルを見ていきましょう。

 

スポンサーリンク

 

猫に関するトラブル

言葉のわからない猫と暮らすうえで、トラブルはつきものだと思います。

人間のように「そんなことしたらダメ!」「知らない人についていったらダメ!」と教えても、猫には通じるわけもありません。

 

かと言って、人間が助けてあげなければ、誰ができるってことですよ。

特に猫の虐待、遺棄などは後が絶ちません。

 

猫の虐待、遺棄

猫に限らず動物への虐待は犯罪です。

 

・動物愛護管理法第44条

愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、

5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する

 

・動物愛護管理法第44条2項

愛護動物に対し、みだりにその身体に外傷が生ずるおそれのある暴力を加える、またそのおそれのある行為をさせる、えさや水を与えずに酷使する等により衰弱させるなど虐待を行った者は、

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する

 

・動物愛護管理法第44条3項

愛護動物を遺棄した者は、

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する

 

・動物愛護管理法第44条4項

愛護動物とは、次の各号にあげる動物をいう

  1. 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
  2. 前項に掲げるものを除くほか、人が占領している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

 

令和元年に動物愛護管理法が

「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」から5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」に改正になりました。

ある調査で「この改正をどのように感じますか?」と1095人に質問したところ、

  • 「刑が軽すぎる」39%
  • 「刑が重すぎる」2%
  • 「妥当」59%

このような結果が出たそうです。

 

「刑が軽い」と言われる理由として1番多かったのが、「命あるものに対する刑がこの程度か!」という意見だそうです。

確かに軽すぎますよね。

動物虐待が減らないのもわかる気がします。

 

動物への虐待は、人間の虐待より見つけにくいと言われています。

動物虐待を見つけた時は、まずは警察に通報しましょう。

 

通報の際は、できるだけ客観的証拠を揃えておくといいでしょう。

証拠があるだけで、動物愛護団体やたくさんの人が告発人となり、有罪に持ち込める可能性が高くなるからです。

 

証拠がないと警察は動いてくれない時があるので、その時は動物愛護センターや地方自治体に、相談してみるのも1つの手だと思います。

地域によっては、アニマルポリスが設置されているので、そこに相談するのも良い方法です。

 

遺棄された猫を見つけた時も、「動物愛護管理法第44条の遺棄違反だ」と言って警察に通報しましょう。

その時も状況を写真に撮ったり、動画に残したりしておくといいです。

遺棄されていた場所やその猫の所持品などがあれば、証拠として残しておきましょう。

犯人特定の手がかりになります。

 

虐待目的で里親になる詐欺が多くなっています。その里親詐欺について書いてあります。

スポンサーリンク

 

愛猫が交通事故に

猫を飼ううえで、室内から出さない事が1番良いとされていますが「うちの子は外にも出してる」「ドアを開けた時に飛び出した」「窓を開けたら出ていった」などで外に出るケースが多々あります。

その時に交通事故にあったら、治療費を運転している者に対して請求できるのでしょうか?

 

民法上「物」とされている猫の交通事故は、物損事故として扱われます。

これは、飼い猫でも同じです。

 

法的には、損害賠償を請求することができると言われていますが、刑事責任に問うことはできません。

しかし、故意に猫を轢いた場合は「器物損壊罪」や「動物虐待罪」が適用されるそうです。

ただ、故意に猫を轢いたと、立証できなければいけません。

 

逆に飼い主が、管理責任を問われるケースもあるそうです。

例えば、愛猫を避けるために運転を誤って事故を起こした場合は、飼い主に損害責任を問われることがあります。

 

民法第718条

動物の占有者は、その動物が他人に加えた危害を賠償する責任を負う

 

つまり、飼い主は被害者が被った損害に対して、損害賠償が生じるということです。

 

事故に遭わなくても、帰って来なかったりする事もありますので、愛猫の突然の飛び出しには十分に注意して下さい。

 

 

なぜ猫は交通事故に遭いやすいのか?という事が書いてあります。興味がありましたら読んでみて下さい。

スポンサーリンク

 

保護した猫が飼い猫だったら

基本、飼い主に返還しなくてはいけません。

法律上、迷子の猫は「遺失物」と見なさるために、飼い主がいる猫を飼うことは、所有者侵害となり損害賠償を請求されるケースがあります。

飼い猫(飼い主がいる猫)と知りながら飼うことは、窃盗罪や横領罪に問われることもあるそうです。

野良猫の場合は、所有権がないため問題はありません。

 

もし飼い主が現れて、返還しなければいけなくなった時は、猫を飼っていた間にかかった費用(エサ代、病院代など)を請求することができます。

 

飼い主は愛猫に「自分の所有物である」ということがわかるように、明示する義務があるのですが、首輪などに明示もされていない場合、誰のものかわからない場合は、警察に届け出るのが原則です。

それか、動物愛護センターです。

遺失物法の改正により動物愛護センターに届け出すのも可能になりました。

 

出来れば、警察や愛護センターへ届出だけして、自分で育てていただける事を願います。

なぜなら、収容期間が満期になって飼い主が現れない場合は、殺処分される可能性があるからです。

 

遺失物法では、3ヵ月経っても所有者が現れない時は、所有権を取得することができるとあります。

猫の飼い主になりたい時は、届出を出す時に「現れない時は譲渡する」と言っておく事が大切です。

 

もし3ヵ月後に飼い主が現れても、所有権がなくなっているので、返還要求されても返さなくてもいいのです。

 

さいごに

2021年6月1日よりペットショップ、ブリーダーなどを対象にした、動物愛護管理法の改正が行われました。

生後56日以下の犬猫の販売が原則禁止

 

こんな法律を作ってくるということは、日本はまだまだペットショップをなくす気がないようです。

まぁ、命がある者を「物」扱いしてるうちは、無くならないですね。

 

動物愛護管理法は、飼い主に向けても定められています。

 

動物愛護管理法第7条4項

できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない

 

猫や犬、その他のペットは基本、人間の言う事なんて聞きません。

その度に腹をたたて虐待したり、遺棄していてはきりがありません。

 

簡単に捨てる人もいれば、優しく抱きかかえてくれる人もいる。

意味なく傷つける人もいれば、介抱してくれる人もいる。

言葉が喋れない小さな命を、守ってあげられるのは人間だけです。

 

一度家族として迎え入れたのなら、最後まで寄り添ってあげて下さいね。

 

おしまい

 

杉本彩さんが動物愛護について書かれた素晴らしい本です。


 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

猫との暮らし
スポンサーリンク
りんさくをフォローする

コメント