こんにちは、りんさく(@sakurarin72)です。
先日、久しぶりに友達から電話がかかってきました。
内容は、
「クーが無事に1歳になったので、お祝いをするから来てくれ!」
とのことでした。
クーとは、1年前にへその緒が付いたままの状態で、病院の非常階段の下に捨てられていた黒猫の事です。
友達の奥さんは、その病院で看護師をしていて、たまたま通りかかった非常階段でクーを見つけました。
1時間…2時間…と様子を見ていたそうですが、一向に母猫が戻ってくる気配がないため、慌てて保護をしたそうです。
急いで動物病院へ連れて行き、獣医さんに状況を説明すると、
「母猫が早産で生きられないと思ったから、生み捨てていったのかも。この子は長く生きられないかもしれないよ。
猫の早産は、ほとんどが助からないから、難しいかもね」
と、言われたそうです。
しかし、彼女と獣医さんは「生きてほしい!」という気持ちしかなく、最善を尽くしてくれました。
そのおかげで、無事に1歳を迎えることができたのが、黒猫のクーです。
僕にとっても、友達夫婦にとっても、想い入れが強い子なので、盛大にお祝いをしてきました。
どの世界でも、子供を産んで育てるのは、容易い事ではありません。
ましてや、自然界で生きている猫にとっては、なおさらでしょう。
今回は、猫の子育てについてのお話です。
猫の妊娠
メス猫は、生後6ヵ月頃から最初の発情期が始まります。
発情期が始まると、メス猫は声とフェロモンを出して、オス猫を呼び寄せて交尾をするのです。
猫の交尾は数分で終わりますが、妊娠率はほぼ100%だと言われています。
これは、オス猫のペニスには無数のトゲがついているためです。
オス猫が射精後にペニスを引き抜く時、メス猫の膣内にキズをつけます。
そうする事で、排卵に刺激が起こり、妊娠を促しているのです。
オス猫がペニスを抜く時は、メス猫にかなりの痛みが与えられます。
そのため、メス猫は攻撃されたと思い、交尾後にオス猫を攻撃する事が多いそうです。
猫は妊娠をすると、約63~65日(約2ヵ月)程度で出産を迎えます。
猫の出産
母猫は出産間近になると、食欲がなくなったり、落ち着きがなくウロウロする事が多くなります。
それと同時に、警戒心が強くなり、他人を寄せ付けない傾向があるようです。
陣痛が起き、破水が始まると、いよいよ出産!
この辺りは、人間と同じですね。
猫は、一度に平均3~5匹程の子猫を産みます。
そのため、猫の個体差にもよりますが、出産にかかる時間は長くて3時間程度です。
15~30分間隔で子猫を産んでいきます。
母猫は出産をすると、羊膜とへその緒を嚙みきり、子猫を舐め刺激を与えて、最初の呼吸をさせるのです。
あとは、羊水で濡れた子猫の身体を綺麗に舐めて、出産を終えます。
これをすべて1人でするのですから、母猫ってすごいですね。
子猫が受ける一生分の愛情
出産を終えた母猫には、休んでいる暇などありません。
すぐに、子育てが始まります。
まずは、子猫に免疫をつけさせるために、初乳(母乳)を約28時間以内に飲ませなくてはいけません。
飲ませ終わっても、1人で体温調整ができない子猫から、離れることはありません。
自分の食事で数分離れることがあっても、すぐに戻って子猫に寄り添います。
そして、筋肉や脳が発達をし、乳歯が生え揃う生後5週齢頃になると、母猫からの教育が始まるのです。
母猫の教え:食べ物
子猫は、3週齢期頃から歯が生え始め、5週齢期頃には歯が生え揃います。
この頃になると、離乳食の始まりです。
母猫は離乳が始まると、母乳を飲もうとした子猫を拒み、母乳を飲ませないようにします。
そして、子猫が離乳期に入ると、狩りの仕方や食べても大丈夫なもの、危険なものを教えます。
母猫が獲物を捕まえてきて、子猫の前で食べて「これは食べても大丈夫なもの」と、子猫に見せて覚えさるのです。
子猫に理解をさせると、今後は一緒に狩りへ連れて行き、獲物の仕留め方を教えます。
これを繰り返すことによって、子猫は自分で狩りをして、食べ物を確保するようになるのです。
これが飼い猫の場合は、子猫に自分(母猫)の食べる姿を見せて、食べても大丈夫なもの、危険なものを教えます。
しかし、狩りを必要としない飼い猫や、母猫と早くから離れてしまって狩りの仕方を知らない子猫でも、自然と狩猟本能がついてくるそうです。
これは、猫の生まれ持った遺伝子に「狩猟本能」が組み込まれているからだと、考えられています。
母猫の教え:安全の確保
猫の世界は、母猫がすべて子猫の面倒を見ます。
子猫の身の安全も、強い父猫が面倒を見るのではなく、母猫が1人で子猫を守るのです。
まれに、父性の強いオス猫だと、子育てに参加をする事もあるのだとか。
基本、猫の子育ては母猫が1人で行うため、最適で安全な場所が見つかるまで、母猫は子猫を咥えて、何度でも生活場所の移動を行います。
そして、安全で快適な場所が見つかると、子猫に寛ぐ姿を見せて、「ここは安全な場所だよ」ということを学ばせるのです。
もし、子猫が危険な場所へ行こうとした時は、威嚇をしたり、噛みついたりして、逃げる事や隠れる事を教えます。
それでも、子猫へ危険が及ぶようなら、いくら自分より大きくて強そうな相手でも、母猫は攻撃をして子猫を守ります。
母猫の愛情を、強く感じる瞬間ですね。
子猫は、母猫の愛情を身に染みて感じることで、母猫との信頼関係を築けるそうです。
母猫の教え:猫社会のルール
単独で生きる猫であっても、猫同士の付き合いは必要不可欠です。
そのため、母猫は子猫とじゃれあう中で、猫への付き合い方を学ばせます。
- どれぐらいの力で嚙むと相手が痛がるか
- 目を合わすことは敵意を示す
- 仲の良い猫への挨拶の仕方
などを、叱ったり甘えさせる中で、身をもって教えます。
付き合い方を間違えば、身に危険を及ぼす可能性があるために、教え方も厳しくなるそうです。
母猫の教え:人間への接し方
飼い猫になると、飼い主(人間)への接し方も学ばなければなりません。
しかし母猫は、
「この人は甘えると、すぐご飯をくれるよ」
「この人は怖いから大人しくするんだよ」
「この人は優しいからハメをはずしても大丈夫」
などと、教えてはくれません。
子猫は、母猫がどのように人へ接しているのかを見て学ぶのです。
そのため、母猫が人懐っこい猫なら、子猫も人懐っこい猫になると言われています。
逆に、外で暮らす母猫は、人への警戒心が強いため、子猫も警戒心を持って人に接する傾向にあるようです。
親の背中を見て育つのは、人間も猫も同じですね。
さいごに
母猫は、子猫に生後2ヶ月で生きる術を全て教えます。
そして、生後3ヶ月頃から親離れが始まるのです。
猫は、生後6ヶ月もすれば、1人で生きていかなければなりません。
子猫がメスの場合は、一緒に暮らす事もあるようですが、オスの場合は嫌がらせをして、無理にでも遠ざけ独り立ちをさせます。
こんな名言をご存知でしょうか?
子猫たちは、親猫の所有物ではない。
神様からの預かりものだ!
「子猫は天使だ!」とよく言いますが、神様からの預かりものならば、天使なのもわかる気がしますね。
しかし、天使を産んで育てたのは母猫です。
母猫の溢れる愛情が、子猫を天使にするのでしょう。
もしかすると、神に1番近いのは母猫なのかもしれません。
どの世界でも、子供を一人前に育てるのは大変なことです。
それが自然界となれば、なおさら過酷で命がけでしょう。
もし、子育て中の猫の親子を見つけたら、温かく見守ってあげて下さい。
子育てをしている母猫の姿を見ると、ほっこりとした温かい気持ちになりますよね。
それは、母猫が子猫へ一生分の愛を注いでいる姿だからなのでしょう。
おしまい
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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